風水とは、古代中国発祥の「環境によって運を呼び込む」という思想をもとに作られた環境学です。
風水は、生まれ持った性質や運勢とは関係なく、環境に依存します。
衣・食・住といった生活環境を変えれば、後天的に運気を上げられるという考えなんですよ。
たとえば「玄関をキレイにしておくと運がよくなる」、「トイレを掃除すると金運がよくなる」といった言葉を聞いたことはありませんか?
これもまさに風水の考え方です。
こうしていつの間にか、私たちの生活には風水の考え方が取り入れられています。
しかし、風水について正しく理解している人はあまりいません。
そこでこの記事では、風水とはどういうものか、歴史や基礎知識を解説。
ぜひ最後までお付き合いくださいね。
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風水とは?
風水とは、古代中国発祥の、方位(方角)の吉凶を決定するために用いられてきた「気の流れを物の位置で制御する」という思想。
冒頭でもお伝えしましたが、簡単にいうと、「環境によって運を呼び込む」というものです。
風水にもとづいて、衣・食・住といった生活に関わる環境を変えれば、運勢も変わっていきます。
そのため、個人の性質や運に左右されないのが特徴。
吉凶の判断や運気を上げるために使用するので、占いのイメージが強い風水ですが、厳密には環境学になるんですよ。
そもそも、風水とはすなわち「風」と「水」。
風は、気の流れやエネルギーをあらわし、水は自然界に存在するすべての水をあらわしています。
昔から、人々は激しい気候の変動や氾濫に悩まされてきました。
そうした自然災害が及ぼす影響が観測され、蓄積した情報から生まれた知恵が環境学として確立。
これが、古代中国から伝わる陰陽五行説と総合され、「風水」が成立したんですよ。
風水には、巒頭(らんとう)と理気(りき)というふたつの鑑定法があり、それぞれ巒頭風水(らんとうふうすい)、理気風水(りきふうすい)にわかれます。
巒頭は、「目に見える・形あるもの」から吉凶を判断する、形成学派の風水です。
巒頭風水では、大地の気の流れが重要で、「龍脈(地中に流れる気の道)の気の流れが阻害されることなく、運ばれた気が土地や建造の隅々までいきわたるようにしなければならない」とされています。
土地がよければ繁栄し、悪ければ没落するといった考えがあるためなんですよ。
一方、理気は「目に見えない・実体のないもの」から吉凶を判断する、方位学派の風水になります。
理気風水では、方位の吉凶が重要となり、個々人の生年月日により定められた方位の吉凶から、住居の方位、住居内の配置を決めるんです。
風水と聞いて一般的にイメージされるのは、この理気風水の方でしょう。
次の項目では、風水の起源から、その歴史についてくわしく解説します。
風水の歴史や起源
風水の起源は、古代中国・周時代(紀元前10世紀以前)におこなわれていた、宅地や村落の吉凶を占う「卜宅(ぼくたく)」だったといわれています。
その後の晋時代(紀元後3世紀)、文学者で卜者(占い師)の郭璞(かくはく)によって、現代でも多くの風水師が経典とする「葬書」が作成されました。
葬書には、「気の流れ」の概念と「環境が運を変える」環境学をもとに、「祖先をよい環境に葬れば、子孫に繁栄がもたらされる」思想が記されています。
唐時代(7世紀頃)の末期には、風水がさかんにおこなわれるようになりました。
このとき、風水に陰陽五行説の思想が取り入れられ、形成学派の風水・巒頭が誕生します。
宋時代(11世紀)になると、羅盤(らしん)をもって吉凶を占う方位学派の風水・理気風水も誕生しました。
明・清時代になると、2つの風水の区別はあいまいになっていきます。
さらに、羅盤をあつかう技術が発展したことで、現在の「風水」になったんですよ。
日本における風水の歴史
日本に風水が伝わったのは、飛鳥時代のこと。
日本の歴史書「日本書記」によれば、古代の朝鮮半島南西部にあった百済(くだら)から渡来した観勒(かんろく)という僧侶が、日本にはじめて風水を伝えたんだそうです。
ちなみに、日本ではじめて風水を実践したのは聖徳太子だといわれているんですよ。
聖徳太子は、中国の福建省(ふっけんしょう)に人を送り風水を学ばせ、全国に広めていきました。
西暦794年には、桓武天皇(かんむてんのう)によって、風水にもとづいた都・平安京が建都されます。
その後平安京が遷都する際、桓武天皇は風水で最良とされる地相の土地を選び、風水のあらゆる知識を総動員して都造りをしたそうです。
風水を取り入れた都市造りは、平安時代から鎌倉時代、戦国時代から江戸時代へと受け継がれていきます。
西暦1590年、徳川家康は風水的に最高の地相だった江戸を自ら選び、江戸城の建築にも風水の知識が用いられたんですよ。
やがて風水の方位除けや家相の知識は神社建築の基準にもなり、民衆に広まっていきました。
風水の基礎知識
風水には、中国において占術の基準となる陰陽五行説と、方位が深く関係しています。
陰陽五行説や方位を基本に、気の流れをよくしてバランスを整え、運気を上げるのが風水の考え方なんです。
そのため、陰陽五行説や方位について理解を深めることが、風水を使用するうえで非常に重要となります。
この項目では、風水の基本となる陰陽五行説や、方位について解説。
さらに、風水で最高の運気をもつ土地とされる「四神相応の地」、住まいの吉凶を判断する「陰宅風水と陽宅風水」についても紹介します。
陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)
陰陽五行説とは、風水の基本となる考え方で、万物は「木・火・土・金・水」5つの要素(五行説)に分類され、「陰」「陽」いずれかの性質(陰陽説)をもつというもの。
陰陽と五行すべての要素がバランスを保つことで、風水的に「適切な環境」へつながるんです。
それでは、五行説と陰陽説をそれぞれ解説していきますね。
五行説
五行説は古代中国からの自然思想で、万物は「火・土・金・水・木」の5つのうちいずれかが基本要素になるという考え方です。
また、単に基本要素なだけでなく、各要素同士の関係が「万物の変化する状態や過程」としてもとらえられています。
つまり、5つの要素が影響を与え合い、生まれては滅び、栄えては衰えを繰り返すことで、万物が変化しながら循環すると考えられているんですね。
五行の5つの要素がもつ特性は、こちら。
五行 | 性質 |
---|---|
木 | ・成長、発育をあらわす「春」の象徴 ・木製のもの、植物、木の葉柄や茶色など |
火 | ・燃え盛る炎、旺盛なことをあらわす「夏」の象徴 ・キャンドルや暖炉、三角形や赤色・橙色など |
土 | ・育成、保護をあらわす「季節の変わり目」の象徴 ・土や石、陶器や大理石、ベージュ色など |
金 | ・冷徹、堅固、確実をあらわす「秋」の象徴 ・鉱物や金属、光り輝くもの、果実柄や金色・銀色など |
水 | ・胎内、霊性をあらわす「冬」の象徴 ・水彩、ガラス、魚柄や水玉、水色や黒色など |
さらに、この五行説には、相手を活かし合い運気を高めていく「相生(そうじょう)」の関係と、お互いが対立し合い運気を低下させてしまう「相克(そうこく)」の関係が存在しているんです。
相生(そうじょう)の関係
五行における相生は、相手を活かし合い運気を高めていく関係。
5つ要素が、火→土→金→水→木という並びで、隣の要素を作る、助ける形になっています。
すべての要素の相生関係は、こちら。
相生関係 | イメージ |
---|---|
火生土 | 火が燃えて灰と土が生まれる |
土生金 | 土のなかから金属類を産出する |
金生水 | 金属は表面に水を生じさせる |
水生木 | 水は木を育てる |
木生火 | 木は燃えて火を生む |
風水でも相生の関係はお互いを助け合い、いい影響を与え発展するので、一緒にするとよいとされています。
相克(そうかつ)の関係
五行における相克は、お互いが対立し、衝突し合うことで運気を低下させてしまう関係。
5つの要素が、木→土→水→火→金という並びで、隣の要素と対立したり打ち消したりする形になっています。
すべての要素の相克関係は、こちら。
相克関係 | イメージ |
---|---|
木剋土 | 木は土の養分を吸い取る |
土剋水 | 土は水を汚す、吸い取る |
水剋火 | 水は火を消す |
火剋金 | 火は金属を溶かす |
金剋木 | 金(金属)は木を切る |
風水でも相克の関係はお互いに反発したり、よい点を打ち消し合ったりするため、一緒にすると運気がさがるとされています。
陰陽説(いんようせつ)
陰陽説も、五行説と同様に古代中国の思想で、万物のあらゆる事物はさまざまな観点から「陰」と「陽」のふたつに分類できるという考え方。
陰と陽は、お互いに対立する属性をもったふたつの「気」であり、万物の生成消滅は、このふたつの気によって起こるとされるんです。
具体的な例でいうと、温かい・明るい・昼・地・男性などは「陽」、寒い・暗い・夜・地・女性などは「陰」に属します。
「陽がよいもので、陰が悪いもの」というわけではなく、陰陽どちらも、物事のバランスを保つための重要な要素なんですよ。
風水における方位(方角)
風水における方位は、東西南北を8つの組み合わせに分類し、それぞれつかさどる運が決められています。
方位のつかさどる運は五行説が基準になり、五行に関連する色もそのまま方位に当てはめるられるんですよ。
方位(五行) | つかさどる運 | 色 |
---|---|---|
北(水) | 金運、愛情運、人気運 | 白、ピンク |
北東(土) | 貯蓄運、転職運 | 白 |
東(木) | 仕事運、勉強運、発展運 | 赤、青 |
南東(木) | 恋愛運、結婚運 | ピンク、緑 |
南(火) | 知性運、美容運、人気運 | 緑 |
南西(土) | 家族運、不動産運 | 茶、緑、紫 |
西(金) | 金運、恋愛運 | 金 |
北西(金) | 貯蓄運、社会運、出世運 | 白、金、茶、緑 |
四神相応(しじんそうおう)の地
四神相応の地は、風水で最高の運気をもつ土地のこと。
四神というのは、東アジア・中華文明圏における方角を守護する中国神話の神獣です。
四神相応とは、この四神が守護する地勢や地相のことなんですよ。
東西南北それぞれを守護する神は、東が「青龍(せいりゅう)」、西は「白虎(びゃっこ)」、南を「朱雀(すざく)」、北は「玄武(げんぶ)」となっています。
また、四神は土地の状態も意味しているんです。
四神(方角) | 土地の状態 |
---|---|
青龍(東) | 流れる川 |
白虎(西) | 大きな道 |
朱雀(南) | 平地、周囲を陸に囲まれた湖 |
玄武(北) | そびえる山、建物 |
四神相応の地とは、これら四神の状態がそろっている土地のこと。
風水的によい土地のため、古くから都市造りに利用されてきました。
古代日本でも、平城京が建都された際は四神相応の地が選ばれたんですよ。
陰宅風水と陽宅風水
陰宅風水と陽宅風水は、どちらも住宅を判断する風水です。
陰宅風水は、「陰者(死者)」が住む「陰宅」、つまりお墓を判断する風水。
よい土地に先祖を埋葬すれば、子孫に繁栄がもたらされるという中国の思想が起源です。
陰宅風水では、お墓の立地条件、場所や墓石の向き、亡くなった方の生まれ年に対する土地・方角の相性などの要素が重要とされます。
そして、陰宅風水の技術を建物に応用してできたのが、陽宅風水です。
陽宅風水は、住居や、都市、施設といった建築物を判断する風水で、よい気を招き入れ、悪い気を払うことが目的。
陽宅風水では、建物の形状や、間取り、周辺の環境などの要素が重要とされています。
また、陽宅風水は家具の配置やインテリアで改善することも可能です。
しかし、あらかじめ場所や配置を考慮して建設するのが理想といえます。
風水で運気を上げるには
風水で運気を上げるためには、五行の性質、相性・相克の関係、方位や色のもつ特性を理解し、インテリアや身に着けるものを考えるとよいでしょう。
さらに、方位がそれぞれつかさどる運を参考に行動するのもいいかもしれません。
たとえば、
「南東に観葉植物(緑)をおいて、恋愛運や結婚運を上げる」
「西に金色で金属製の小物をおいて、金運を上げる」
など…。
より運を呼び込むためには、方位と色だけでなく、五行に対応した性質を考慮するのも大切です。
また、風水では気の流れが重要視されています。
そのため、掃除をおこない場をキレイにして、気の流れをよくするのも大きなポイントのひとつ。
とくに風水では、玄関からよい気が入ってくるとされるので、日頃から掃除をしておきましょう。
くわえて、排泄する場所であるトイレには悪い気が溜まりやすいため、玄関と同様キレイに掃除しておくことをオススメします。
風水を活用して運気を上げるにはまずは鑑定から
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
今回は、風水がどんな占いか、歴史や基礎知識、方位のもつ意味までを紹介しました。
風水は、古代中国の陰陽五行説を基本に、「環境によって運を呼び込む」という思想のもと作られた環境学。
その人の生まれ持った性質や運は関係なく環境に依存するため、後天的に運気を上げることが可能なんです。
しかし、風水の判断には、陰陽五行説の性質、相性・相克の関係、方位の属性など、さまざまな要素を理解しておく必要があります。
また、風水は複数の要素が組み合わさっているため、知識があっても解釈の仕方に迷ったり、どう実践していいかわからなかったりするかもしれません。
やはり一番のオススメは、プロの占い師に鑑定してもらうことでしょう。
プロの占い師は風水の正しい考え方を理解しているので、相談者の疑問に正確な回答ができますし、具体性のあるアドバイスをしてくれますよ。
「鑑定するために、わざわざ外出するのは嫌だなあ」
「占い師って、高いお金を払わされるんじゃないの?」
なかには、こんな不満や疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
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